[macOS] DisplayLink 技術によるイーサネット接続時の転送スピードについて

Last Update: August 14th, 2023
Article ID: 958284

 

問題の症状

Plugable 社は DisplayLink 社製 DL-3900 チップセットを搭載した USB 3.0 または USB Type-C ドッキングステーションを様々なモデルとして提供しています。これらのドッキングステーションのイーサネットポートは、グラフィック出力機能とともに「DisplayLink 社製 USB グラフィック変換チップセット」が提供しており、チップセット自体は 10/100/1000 ギガビット・スピードに対応しています。

しかし、これらのドッキングステーションを Mac システムで使用した場合に、この転送スピードが充分に出ないことがわかっています。これは、「macOS システムで DL-3900 チップを搭載した製品による有線 LAN 接続で、大容量サイス(300Mbps 以上)のファイルを転送する場合」に発生します。DisplayLink 社製のグラフィックチップセット DL-6950(4K 対応)を搭載した製品ではこの問題は起こりません。

Plugable 社内での検証や、製品を使用しているユーザーの方々からの報告によれば、上記のような環境では「受信(ダウンロード)では 250-300Mbps」、「送信(アップロード)では 500-700Mbps」程度、場合によってはそれ以下の転送スピードまでしか出ないことがわかっています。

この問題は現在原因の調査中ですが、DisplayLink 社が提供するデバイス・ドライバの修正によって解決できる問題なのか、あるいは macOS の修正が必要なのかはいまだ不明です。

もし大容量サイズのファイルをギガビット・スピードで転送する要件のあるユーザーの方は、WiFi を使用するか他のチップセットを採用した USB イーサネットアダプターを利用することをご検討ください。例えば macOS 11.x 以上を使用しているユーザーは、Plugable 社の USB3-E1000 ギガビット・イーサネットアダプターをドッキングステーションの USB Type-A ポートに接続して使用することができます。ただし、この製品は ASIX 社製チップを採用しており、デバイス・ドライバの導入が必要です。

 

影響を受ける Plugable 製品:

  • UD-3900:USB 3.0 デュアルディスプレイ・ドッキングステーション
  • UD-3900C(日本未発売):USB-C and USB 3.0 Dual HDMI USB Docking Station
  • UD-3900C4:Plugable 14-in-1 USB-C ドッキングステーション HDMI 4台モニター対応
  • UD-3900H:USB 3.0 水平 デュアルディスプレイ・ドッキングステーション
  • UD-3900Z(日本未発売):Dual HDMI USB Universal Docking Station For Windows
  • UD-3900PDH: Plugable 14-in-1 USB-C トリプルモニタ ドッキングステーション
  • UD-3900PDZ(日本未発売): USB-C Triple HDMI Display Docking Station
  • UD-ULTCDL: Plugable USB-C ドッキングステーション トリプルモニター
  • USB3-3900DHE:USB 3.0 デュアルディスプレイ・グラフィックアダプター イーサネット付

 

M1 Mac システムに関する追加の考慮点:

上記にあるように、ドッキングステーションやグラフィック製品経由で USB 3.0 イーサネット・アダプターを使用したり、Mac システム自体の USB-C ポートから直接 USB-C ギガビット・イーサネット・アダプターを使用すれば、「DisplayLink チップによるイーサネットポート」経由でのパフォーマンス上の問題は回避することができます。 

しかし、M1 チップを搭載した Mac システムではこの問題とは別に、多くの USB ギガビット・イーサネットアダプターが期待通りの転送スピードで機能しないことが判明しています。下記の Plugable 社製品がこれに該当しますが、この制限は Plugable 社製品のみで発生するわけではなく、同じチップセットを搭載している他社製品でも同じであると考えられます。

  • USB3-E1000:USB 3.0 ギガビット・イーサネット・アダプター(ASIX チップ搭載)
  • USBC-E1000:USB Type-C ギガビット・イーサネット・アダプター(ASIX チップ搭載)
  • USBC-TE1000 : USB Type-C ギガビット・イーサネット・アダプター(Realtek チップ搭載)

ASIX 社製チップを搭載したアダプターを使用するには、macOS 11.x 用デバイス・ドライバの手動導入が必須です。 Realtek 社製チップ搭載のアダプターは、macOS にドライバが内蔵されています。

ASIX チップ搭載アダプターの macOS 11.x 用ドライバ導入手順について知りたい場合は、下記のナレッジベース記事を参照してください。

[macOS] ASIX 社製イーサネット・デバイスドライバー導入手順 macOS 11 Big Sur 用(DEXT 対応)

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