DisplayLink 技術と代替モード グラフィック出力の違いについて

Last Update: July 22nd, 2022
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チップセットとは

チップセットは、特定の電子機器の頭脳と考えることができます。例えば、ビデオ信号、オーディオ信号、ネットワーク接続、ストレージ機器などを管理するチップセットがあります。

ほとんどのユーザーにとって、デバイスに使用されているチップセットの詳細を知る必要はありません。しかし、技術的な場面では、その機器が採用しているチップセットについて知ることが非常に役立ちます。互換性や、他の製品情報に記載されていない一般的とは言えない技術機能について知る必要があるからです。


外部モニタの接続方法

Plugable 社は、様々な技術を駆使してコンピュータが接続できる外部モニター数や種類を増やしています。外部接続タイプには現在2種類あり、それぞれメリットとデメリットがあります。


DisplayPort 代替モード(Alt モード)

代替モード・グラフィック機能は、USB ポート経由でグラフィック信号を送信するために規定された新しい技術です。コンピュータ自身に内蔵されている GPU(グラフィックチップ)から、(従来のようにビデオケーブルではなく)USB Type-C ケーブル経由でグラフィック信号を出力することができます。これにより、従来のグラフィック専用ポートと同等レベルの高品質グラフィックデータを、高いパフォーマンスで利用できます。

代替モードのもう一つの大きなメリットは、PC 側にこれをサポートする USB-C ポートがあれば、モニタ側がどんなインターフェースであっても簡単に接続できる点です。ケーブルを使い分けることで、インターフェースの違いを吸収できます。

例えばモニターに HDMI ポートしかない場合は「USBC-HDMI ケーブル」を、古くて VGA 入力ポートがないモニターの場合は「USBC-VGA ケーブル」を使うことができます。最新のモバイルモニターなどでは入力ポートに「USB-C ポート」がついていることがありますが、両端が USB-C コネクターになっている、USB 3.1 以上に対応した USB-C ケーブルを使って接続できます。 

PC に搭載されたUSB-C ポートが「代替モード」をサポートしている場合であれば、外部モニタをするには「代替モード」は最も良い選択肢と言えます。ただし、すべての USB-C ポートがこの代替モードに対応しているわけではない点に注意してください。

また通常の PC 環境では、代替モード経由で接続できる外部モニタの数は 1 台に制限されることがほとんどです(Thunderbolt 3/4 ポートを除く)。Thunderbolt 3 または 4 に非対応の USB-C ポートに、さらに2台目、3台目の追加外部モニタを接続したい場合には、DisplayLink 技術のような別の方法をとる必要があります。


USB グラフィック変換

USB グラフィック技術は、本来「データ通信用」として定義されている汎用ポートの USB ポートから、外部(周辺機器側)に搭載された特別なチップセットを使うことでグラフィックデータを出力できるようにする技術です。代表的なものに DisplayLink 技術や Silicon Motion 技術などがあります。 

例えば DisplayLink 技術は DisplayLink 社が開発した何種類かのチップセットが提供されており、これを利用して様々な周辺機器メーカーが多種多様な製品を提供しています。

代替モードとは異なり、この DisplayLink のような「USB グラフィック変換」技術では、コンピュータ自身に内蔵されている GPU から直接グラフィック信号を送信するわけでありません。

その代わりに、プロセッサー(CPU)性能によってコンピューター上に仮想ディスプレイ空間を作り、そこで生成され圧縮されたグラフィック・データを、USB 経由で DisplayLink チップ搭載のグラフィック周辺機器(ドッキングステーションやグラフィック変換アダプターなど)に送信します。そして周辺機器側の DisplayLink チップが、PC から送信されたグラフィックデータをでデコードし、解凍してモニタ上に表示するという仕組みになっています。

このため、DisplayLink をはじめとした USB グラフィック変換をするためには PC 側にこれ専用のデバイス・ドライバーの導入が必須となります。また、直接的に GPU からのグラフィックデータを送信する方法ではないため、USB グラフィック技術にはいくつかのパフォーマンス上の制限があります。たとえば、非常にグラフィック負荷の高い動画編集やゲームのようなアプリケーションには不向きです。

このような製品を使うメリットは、2台目以降の外部モニターを接続するには比較的安価な方法だということです。またグラフィックカードの追加などができないノート PC などでは、2台目以降のモニタ接続にはこの機能を使う以外の選択肢がないこともあります。

さらに追加として、USB-C ポートでももちろん、従来型の USB Type-A ポート経由で使用できることです。この USB グラフィック変換技術は、USB-C ポートが登場する前から外部モニタを接続するために長く使われてきた、実績のある技術です。

マルチメディアの表示が不要なビジネスユーザーや、専用グラフィックカードなどを必要とする高度なグラフィック機能を使ったアプリケーション(3D ゲームや、動画編集など) を実行しない PC ユーザーにとっては、メリットの高い手段といえます。