MST とは?
MST は「マルチストリーム・トランスポート(Multi-Stream Transport)」のことで、VESA が規定する DisplayPort 技術に含まれる機能です。MST 機能を使うと、1 つの DisplayPort 出力ポートから複数の非圧縮グラフィックデータが転送される(マルチプレキシング multiplexing)ため、複数のモニタを接続することが可能になります。この MST 機能は、現在下記のグラフィック出力ポートで使用できます。
- DisplayPort
- Mini DisplayPort
- Thunderbolt 3 / Thunderbolt 4
- DP 代替モードに対応した USB-C ポート
MST には 2 つの接続タイプがあります。1 つは「デイジーチェーン」と呼ばれており、複数のモニタを「MST ハブ」として 1 つの構成とし、1つの DP 信号出力ポートから複数モニタを数珠つなぎに接続する方法です。この構成をするためには、使用するモニタ側には必ず DisplayPort 1.2 以上または Thunderbolt に対応した「入力」ポートだけでなく、同様に対応の「出力」ポートが搭載されていて、かつ MST モードが有効になっていなければなりません。
またこの接続タイプでは、HDMI 出力には対応していません。
デイジーチェーン接続例
しかし現状、多くのモニタには「DisplayPort 出力ポート」は搭載されていません。2つ目の接続タイプとして、モニタ側の MST 機能に依存せずに複数モニタを接続するために、1 つの信号を複数に分割する機能を持った「MST ハブ」があります。たとえば、「Plugable USBC-11IN1E ハブ」、「Plugable USBC-MSTH2 グラフィック変換アダプタ」のような製品です。 この形式では、HDMI モニタにも接続ができます(ただし、出力元は DisplayPort 信号でなければなりません)。
MST ハブによる接続例 - Plugable USBC-11IN1E ハブ
MST を使用するのに追加ソフトウェアは必要ですか?
MST は DisplayPort 信号の一機能なので、追加のソフトウェアやデバイスドライバなどを必要としません。PC に搭載された GPU の機能を直接使用して、グラフィックデザインやビデオ編集に利用される高解像度非圧縮映像を提供します。ただし、この時対応できるモニタの解像度とリフレッシュレートは GPU の技術仕様によって異なる点に注意してください。例えば DP 1.4 は DP 1.2 よりも高い解像度、リフレッシュレートに対応できます。
MST は GPU 自身の機能でもあるため、MST を安定して使用するために GPU には製造元が提供する最新のデバイス・ドライバを常に適用することをお勧めします。
どの OS が MST をサポートしていますか?
MST 機能は、Windows 11、10、8.1 と ChromeOS でサポートされています。
MST 2023年 2月現在、macOS は MST をサポートしていません。
MST 機能による Plugable 社製品
Plugable 社は、様々な機能を提供するハブやドッキングステーションなどの形で、MST 製品を提供しています。対応機器の一部は下記を参照してください。
- USBC-MSTH2
- USBC-11IN1E
- UD-3900C4
- UD-MSTHDC (日本未発売)
下記 Thunderbolt 機器も、MST 機能を使用しています(ただし、日本では販売していません)。