Dell 社製の USB Type-C 対応 PC(Dell XPS、Precision など)における、周辺機器接続の問題について

Last Update: July 16th, 2021
Article ID: 862000

注:この記事は 2016年6月30日に公開されたブログ記事です。

この記事のサマリー

Plugble 社 USB Type-C 製品をご利用中の Dell システムをお使いのお客様からの障害報告や、Dell システムのユーザ・フォーラム等からの情報をまとめた結果、Dell 社製 USB Type-C システムのうち数パーセントのハードウェアで、USB-C ポート経由のデータ入出力が不安定になることがあると考えられます。

これを一時的に回避する方法は、PC 内蔵 WiFi の出力を下げることでした。Dell 社の新しいモデルでは、この問題は発生しなくなっています。


2016年7月更新

過去数日の間に、Dell 社は Dell製Thunderbolt 3 および USB Type-C 対応システム用の更新をいくつか提供しはじめました。対象となるのは、Dell XPS 13 9350、XPS 15 9550、Precision 5510 などのモデルです。これらの更新には、システム BIOS、Thunderbolt 3 ドライバ、Thunderbolt 3 NVM ファームウェアなども含まれています。該当機種をお使いの場合は、Dell 社のサポート・ページにアクセスし、ご自身のマシンの Dell サービス・タグを入力して、必要な更新をダウンロードの上適用してください。Plugable 社の USB Type-C ドッキングステーションなどの機器で接続上の問題が生じている場合、Dell 社製システムにこの作業を実行することが問題解決のための最初に必要なステップです。

  • Dell 社サポートページ(日本語):http://www.dell.com/support/home/jp/ja/jpbsd1/
  • Dell 社サポートページ(英語):http://www.dell.com/support/home

(サービス・タグの探し方はこちらです。)

BIOS の更新は「BIOS」カテゴリ内に、Thunderbolt 3 ドライバと NVM ファームウェア用更新は「チップセット」カテゴリ内にあります。BIOSの更新をまず行い、次に Thunderbolt 3 ドライバ、3 番目に NVM ファームウェアという更新手順をお勧めいたします。

しかし、Dell 社から提供された最新の更新を適用したお客様から、依然として当問題が解消されていないとの報告が上がっています。システムを「機内モード」に設定すると状況が解消することがあるとの報告がいくつか寄せられました。

最終的に、USB Type-C ポートに接続したUSB機器が不安定になる問題がある Dell XPS システムにおいて、多くのお客様から「内蔵 WiFi のパワー出力を 75% に低下させると状況が改善する」との情報を得ました。当情報は、Dell 社サポート・フォーラムでも話題となりました。

「内蔵 WiFi のパワー出力を 75% に低下させる」手順については、この記事の一番下にある「Dell XPS ラップトップの内蔵 WiFi 出力を下げる手順」セクションを参照してください。


オリジナル記事(2016年6月)

Plugable 社は最近、2 種類の USB Type-C 対応ドッキングステーションを販売開始いたしました。「Plugable UD-ULTCDL USB Type-C 充電機能付トリプル・ディスプレイ・ドッキングステーション」と「Plugable UD-CA1 USB 3.1 Type-C 充電機能付ドッキングステーション」です。ありがたいことに、両製品とも多くのお客様にご好評いただき、在庫切れにならないように努力をしているところです。

新製品が販売開始されると、今回のドッキングステーションのように USB 3.1 のような最新技術を採用した場合には特に、最初の数週間は技術担当者である我々にとっても、多くの新しい事実が発見され学ぶことが多くあります。お客様から寄せられた様々な情報の一覧が、「問題の症状」セクションにまとめられています。

今回の新製品に関する障害報告で最も興味深く、通常と異なっていると考えられる点は、USB デバイス(この場合、Plugable 社のドッキングステーション)が明らかに「なんの整合性もなく」ときどき接続不良になる、ということでした。たとえば、Dell Precision 5510 ラップトップをご利用のお客様の一人は、ドッキングステーションが特別なきっかけもなく時々接続できなくなくなりました。弊社がご提供しているデバッグツール PlugDebug のデータをご提供いただいて解析した後、ドッキングステーション側になんらかのハードウェア不良がある可能性が捨てきれなかったため、私たちはこのお客様に弊社内のテスト・ラボで十分に機能テストを行った同じ製品を代替品としてお送りしました。弊社は代替品をお送りする場合、弊社テスト・ラボにてテクニシャンが稼働確認したユニットをご提供するようにしています(訳注:米国以外の諸国では必ずしも当てはまりません)。しかし今回のケースでは、稼働テストを 12 時間以上行った後の製品をお送りしたにも関わらず、このお客様での問題は解消しませんでした。

ここで大きな疑問となったのは、非常に多くの Dell XPS 9350 や 9550 システムをお使いのお客様の大部分ではまったく問題なく稼働しているドッキングステーションが、一部のお客様のシステムでは問題を生じさせてしまうことでした。それらのお客様の場合、弊社からテスト済の代替品をお送りしてお使いいただいても、やはり問題が解消しなかったのです。

弊社の技術担当チームはこの問題をさらに調査し、多くのお客様からの情報を収集し続けました。徐々に明らかになったのは、当問題が発生するのは USB Type-C ポートを搭載しているだけでなく、Thunderbolt 3 対応であるとされている Dell 社製の製品、XPS 13、XPS 15 および Presicion 5510 などに限られているということでした。Thunderbolt 3 は USB 3.1 のスーパーセットであり、PC システム搭載の同じチップセットが両プロトコルの稼働を担当しています。(Plugable 社の USB Type-C 対応ドッキングステーション自体は、Thunderbolt 3 ではなく USB 3.1 プロトコルを使用しています。)

Dell XPS ファミリーは Thunderbolt3 / USB Type-C 対応 PC の中でも非常に人気の高い製品のため、Plugable ドッキングステーションをご利用のお客様の中にも多くのユーザがいらっしゃるのは不思議ではありません。そして、そのうちの数パーセントのお客様の元でのみ、同じドッキングステーションが正しく稼働しないということがわかってきました。

我々はほぼ同時に、弊社の Thunderbolt 3 対応製品「Plugable Thunderbolt 3 デュアル・ディスプレイ・アダプタ(TBT3-HDMI2X)」を販売開始しています。これらの製品の開発および検証の過程で、私たちはほとんどすべての Thunderbolt 3 システムで、非常に頻繁に新しい BIOS および Thunderbolt 3 ファームウェアの更新をしなくてはならないことに気が付きました。またこれらの作業により、非常に多くの不具合点が劇的に解消されることも経験しています。しかしながら、最新の状態に更新したとしても、依然として特定のシステム上でいくつかの不具合が残されていることもまた事実として認識することとなりました。

さらに調査を勧めていくうち、私たちは Dell 社サポート・フォーラム(英語)に、Dell 社の Thunderbolt 3 対応製品と USB Type-C 対応ドッキングステーションでも同様の問題が報告されはじめたことに気が付きました。このスレッドは非常に長くなっていますが、今回弊社に寄せられた「接続が不安定になる問題」が、Plugable 社製のドッキングステーションのような特定の USB Type-C 製品だけに限らないということが読み取れます。

この問題に関する Dell 社からの正式なコメントはありませんが、Dell システムのユーザによりいくつかの対応策が提示されています。たとえば、一部の問題では、ラップトップのふたを開けた状態にすれば、不安定さが解消されるというようなものです。また他のユーザはシステムを「機内モード」にして内蔵 WiFi および Bluetooth を遮断すると、状況が改善すると報告しています。さらに、複数のユーザの方々が Dell 社と当問題について技術サポートを受けており、Dell 社もこの問題を解決すべく BIOS のアップデートを用意していると報告しています。

Dell 社からつい最近提供された Dell XPS 13 用の BIOS アップデートには、Thunderbolt 3、USB Type-C および ドッキングステーションに関する修正が含まれていると記されていました。しかし、何らかの理由からこのアップデートは、すぐにまた削除されています。

これらの状況を鑑み、Dell 社の PC 側に何らかの問題があるのではないかという疑惑が高まっていましたが、Plugable UD-ULTCDL トリプル・ディスプレイ・ドッキングステーションを Dell XPS 15 9550 モデルでご利用いただいていたお客様で、きわめて問題判別が難しい問題が発生し、それが解決された際、この疑惑はほぼ確証となりました。

このお客様で発生したのは、UD-ULTCDL ドッキングステーションがランダムに切断されるという上記で説明したのと同様のもので、私たちはドッキングステーションの代替品をお送りしました。しかしながら、弊社テクニシャンが正常稼働を確認した上でお送りしたその代替品を使っても、問題は解消されませんでした。その方は Dell 社に問い合わせて お使いの XPS 15 を取り替えてもらいましたが、やはり問題は解消しませんでした。ここで、我々は問題が USB-C 特有のものなのかそうでないのかを切り分けるため、お客様に別の Plugable 社製 USB 3.0 製品をいくつかお送りしてお試しいただきました。その結果、UD-3900 ドッキングステーションを USB Type-C – Type-A 変換アダプタを使用して USB Type-C ポートに接続すると問題が再現しましたが、同じドッキングステーションを USB Type-A ポートに接続すると問題なく稼働しました。そのようにしている間、このお客様は他の理由もあって、結果的に 2 度 Dell 社から XPS 15 の代替品を送ってもらったのですが、その 2 回目に交換した(つまり 3 台目の)PC を使えば、USB-C ポートに接続した UD-ULTCDL および UD-3900 は何の問題もなく稼働しました。

我々は様々な PC を使用して弊社製品の検証を行っていますが、すべての Thunderbolt 3 および USB-C 対応の Dell 社製 PC をテストができるわけではありません。Dell XPS 13 9350 および Dell XPS 9550(非ハイブリッド版)は所持しておりテストに使用しましたが、弊社内でテストした際には弊社製 USB-C ドッキングステーションは問題なく稼働しました。Dell 社のユーザーフォーラムにコメントされているように、BIOS や Thunderbolt 3 NVM ファームウェアを更新することで状況が改善することもあるようです。しかしながら、PC 側に何らかのハードウェア的な問題が(ランダムに)発生ししている場合には、これらの更新も役に立たない可能性があります。

興味深いことに、私たちがこのブログ記事を用意して公開する寸前に、Dell 社は Thunderbolt 3 および USB-C 対応の Precision 7510 と 7710 モデル用の BIOS 更新をリリースしました。それによれば、Thunderbolt 3 と USB-C に関する修正が含まれているようです。このような修正が、Dell 社製の他のシステムでも提供されるようになり、当問題が解消してくことを願っています。

それまでの間、もし Plugable 社の USB-C 製品と Dell 社製の Thunderbolt 3 および USB-C ポート対応の PC との間で同じような現象をご経験された場合には、弊社サポート nihongo@plugable.com までご連絡くださるようお願いいたします。確実な修正が入手できるまでの間はご不便をおかけいたしますが、今後さらに多くの Thunderbolt 3 対応 PC が使用されるにしたがって、状況は徐々に改善されていくものと考えています。


問題の症状

これまで弊社に寄せられた問題報告や、公開されている様々なリソースから得られた情報は、下記の通りです。

この問題は Dell 社製の PC をお使いのすべてのユーザで発生するわけではありません。実際に使用されている Dell 社製の PC の数に比べれば非常に少ない割合といえます。
  • これまで、Dell XPS 15 9350、Dell XPS 15 9550、および Dell Precision 5510 の利用者からこの問題が報告されています。
  • 代替モードを使用したグラフィックス表示の問題はほとんどなく、USB データ・パケット転送の方に多くの「不安定さ」が生じています。
  • システムの「機内モード」を有効にすると、問題の発生頻度が低下することがわかっています。
  • ラップトップのふたを開けたままにしておくと、問題の発生頻度が低下することがわかっています。
  • 問題の生じた環境で、USB-C 機器をできるだけシステムから離して設置する(例えばケーブル長を最大に使用する)などすると、問題の発生頻度が低下すると報告されています。
  • Dell 社のフォーラムによれば、何人かのユーザの方々が Dell 社から BIOS 更新が提供される予定である(と言われた)と述べています。
  • 実は Dell 社は一度、Thunderbolt 3 および USB-C 関連の修正を含んだとされる XPS 13 9350 用の BIOS 更新を公開しました。しかし該当の更新は今はダウンロードサイトから削除されています。
  • 上記の一時的に利用可能だった BIOS 更新を実際に試したユーザの方々は、更新を適用後、WiFi シグナル強度が低くなっていたと報告しています。
  • Dell 社のフォーラムによれば、お一人の方は、Dell 社からの代替ラップトップを入手することによって当問題が解決しています。
  • Plugable 社は、XPS 15 を UD-ULTCDL ドッキングステーションに接続して使用中にこの接続不安定さを経験していたユーザと協力して、当問題を解消できました。UD-ULTCDL ドッキングステーションを取り換えても問題は解消しませんでしたが、XPS 自身を 2 回取り換えてもらった後、3 台目のラップトップでは問題が発生しなくなりました。
  • 上記のような情報(「機内モード」が有効、PCと USB-C 機器とに距離を置くことが有効、BIOS 更新により WiFi 出力が下げられたことなど)を照らし合わせると、PC 内蔵のワイヤレスおよび Bluetooth 信号が、USB-C データバスを行きかうデータに何らかの干渉をしている可能性が高いのではないかと考えられます。(これは USB 3.0 機器が市場に出回り始めたときにも発生した、高周波信号間の干渉問題と非常に似ています。)


Dell XPS ラップトップの内蔵 WiFi 出力を下げる手順

  1. デバイスマネージャを開きます。
  2. 「ネットワーク アダプター」カテゴリーを開きます。
  3.  Dell Wireless xxxx を右クリックして、「プロパティ」を選びます。
  4. 「詳細設定」タブを選びプロパティ・リストをスクロールダウンして、「Power Output」を選択し、値のドロップ・ダウンから「75%」を選択します。画面イメージは下記を参照してください。
  5. 「OK」ボタンをクリックして変更を適用します。
  6. システムを再起動します。



この情報は役に立ちましたか?